このページでは、一般的な事例を紹介します。
似たような条件も多いので、ご自身が当てはまる事例をご確認いただけると、トラブルの事前想定が可能です。
なお、このページの事例は、ありがちな問題を説明するためのフィクションです。登場人物は実在しません。

遺産分割に関するトラブル事例

次に示す事例は、遺産分割が円滑に行われないことが原因として挙げられます。専門家のアドバイスやサポートを受けることで、多くのトラブルは回避や解決が可能です。

遺言書の解釈

故人が残した遺言書の内容や意図が明確でない場合、相続人間での解釈が異なることからトラブルが生じることがあります。

エピソード①

故・田中太郎氏は、遺言書を残して亡くなった。その遺言書には、「私の貯金は、息子の一郎に、マンションは娘の花子に譲る」と簡潔に書かれていた。

一郎は、父の貯金額が1,000万円であることを知っており、その全額を受け取るものと考えていた。しかし、太郎氏の死後、花子が「父の貯金の半分は私のものだ」と主張しました。彼女の解釈は、遺言書に「息子の一郎に」と書かれている部分は、太郎氏の意図として「貯金の全額」ではなく「貯金の半分」を一郎に与えるものとしているというものだった。

また、花子はマンションの管理費や固定資産税の支払いに関しても、一郎に半分負担してもらうべきだと考えた。一郎はこれに反論し、遺言書の内容は明確であると主張したが、花子は太郎氏が自分たち兄妹の平等を考えていたはずだと反論した。

このように、簡潔な表現の遺言書が原因で、一郎と花子の間で意見が分かれ、最終的には専門家の助言を仰ぐこととなった。


このエピソードは、遺言書の内容が曖昧であると、相続人間での解釈が異なることがあることを示しています。遺言書を作成する際には、具体的かつ詳細に内容を記述することがトラブルを避けるための鍵となります。

エピソード②

故・中村一郎氏は、遺言書に「私の所有するアパートは長男の誠に、私の預金は300万円を次男の浩史に、残額は三男の竜三に相続させる」と明確に記述して亡くなった。。

この遺言書に基づき、家族は相続の手続きを進めていった。しかし、問題が発生した。浩史が一郎氏の銀行の預金通帳を確認すると、預金の合計が250万円しかなかった。遺言書に記述されていた金額よりも50万円少ないのである。

浩史は、父の預金が少なくなっている理由を探るうち、竜三が故人の死前に特定の大きな支出を手伝ったという情報を得る。そして、浩史は竜三に対して、その支出の際に父の預金を無許可で使用したのではないかと疑念を抱くようになる。竜三は、自分が父の預金を使ったことは認めるが、それは父の了承の下での出費であり、浩史の主張する「無許可」ではないと反論する。浩史は、自分に指定された金額を全て受け取るべきだと主張し、竜三が50万円を支払うよう求めた。

このように、遺言書の内容は具体的であったものの、現実の資産の状況との不一致からトラブルが発生し、兄弟間での対立が深まっていった。


このエピソードは、遺言書の内容と現実の資産状況の不一致が原因でトラブルが発生する可能性があることを示しています。

遺言書の有効性

遺言書が法的に有効かどうかを巡る争いです。手続きの不備や故人の意思表示が正確であったかどうかの疑問が生じる場合などが挙げられます。

エピソード①

田中夫妻は、長い間子供に恵まれず、晩年に養子を迎えることにした。その養子として迎えたのは、田中夫妻が長年面倒を見てきた甥の純一だった。

田中夫妻は老後の生活を純一と過ごし、純一を実の子のように思っていた。ある日、田中夫人は自筆の遺言書を書き、それを家の金庫に保管した。その遺言書には「私の財産はすべて純一に相続させたい」と記載されていた。

数年後、田中夫妻は相次いで亡くなった。純一は遺言書を見つけ、それをもとに相続を進めようとした。しかし、田中夫妻の血のつながった遠縁の親戚、美紀はこれに反発。彼女は、「遺言書は夫人が純一に影響されて書かされたものだ」と主張した。また、遺言書には証人の署名がなく、手続きの不備を指摘し、遺言書の無効を主張した。

純一は弁護士を通じて、田中夫妻の意思がしっかりと反映されていること、また田中夫妻が純一に対しての深い愛情を証言する人々を多数呼び、遺言書の有効性を争うこととなった。


このエピソードは、遺言書の有効性や手続きの不備を巡るトラブルを象徴するものです。遺言書の作成や保管、そしてそれに関わる手続きには細心の注意が必要であり、トラブルを防ぐためには専門家のアドバイスや介入が重要です。

エピソード②

佐藤昌夫は、長年にわたり自分の小さな会社を経営してきた。息子の大輔は家業を継ぐ意志がなく、都会で独立してIT関連の仕事をしていた。しかし、昌夫の一人娘、菜々子は父の会社を手伝い、後を継ぐことを望んでいた。

ある日、昌夫は突然の事故で亡くなってしまう。昌夫が生前に書いた遺言書を探したところ、10年前のものが見つかった。その遺言書には「私の会社と私のすべての資産は、息子の大輔に譲る」と記されていた。

しかし、近年の昌夫の話や態度から、昌夫が最も信頼していたのは菜々子であり、彼女に会社を継がせる意向であったことは周囲の人々にも明らかだった。遺言書の内容と昌夫の近年の態度との間に矛盾が生じ、家族間でのトラブルが勃発する。

菜々子は、父が最後に望んだのは自分に会社を継がせることであったと主張。しかし、大輔は遺言書の内容を根拠に、自分が正当な相続人であると主張した。遺言書の更新がなされていないため、昌夫の真意がどこにあったのかを法的に解明する必要が生じた。


このエピソードは、遺言書の更新の重要性や、家族間での意思疎通の不足がトラブルの原因となることを示しています。遺言書を作成する際には、定期的な見直しや更新が必要であることを強調する事例です。

生前贈与の取り扱い

故人が生前に一部の相続人に財産を贈与していた場合、それをどのように遺産分割に取り込むかについての意見が分かれることがあります。

エピソード①

中山優子は、夫とともに田舎で静かに暮らしていた。彼女には2人の子供、長男の健と次男の修がいた。優子の夫は10年前に亡くなり、その後は2人の息子たちと共に過ごしていた。

健は家を継ぎ、町内での役職も務めるなど地域のリーダーとして活動していた。修は都会に出て、IT企業で成功を収めていた。数年前、修が一時的に資金が必要となり、優子は彼に自宅の隣の土地を贈与した。修はその土地を担保にして資金を調達し、後にそれを返済していた。

優子が亡くなった際、彼女の遺産にはその土地も含まれていた。健は、修が既にその土地を贈与として受け取っているため、他の遺産を平等に分割すべきだと主張した。しかし、修は、その土地は資金調達のための一時的な手段であり、正当な遺産の一部として自分に分配すべきだと反論した。

この生前贈与の取り扱いについて、2人の間で意見が合わず、遺産分割が難航する事態となった。


このエピソードは、生前贈与の意図や背景が明確でない場合、後の遺産分割でトラブルの原因となる可能性があることを示しています。生前贈与を行う際には、その意図や取り決めを明確にし、できれば書面に残すことが重要であることを強調すべき事例です。

エピソード②

桐山家は、長い歴史を持つ老舗の和菓子屋を営んでいる。代々家業を継いできた桐山家には、現当主である一郎と、その娘・真紀、そして次女・悠里の3人が暮らしていた。

真紀は大学を卒業後、都会の大手菓子メーカーでの経験を積んで家業に戻り、現在はその経営を助けている。一方の悠里は、美大を出た後、独自の道を歩み、アーティストとして独立したスタジオを持っている。

数年前、悠里がスタジオを開設する際、一郎は彼女を支援するために一部の遺産として貯蓄を贈与した。悠里はそのお金でスタジオを設立し、独自の作品を発表している。

一郎が亡くなった際、その遺産には家業である和菓子屋の土地・建物や機材、そして一郎の個人的な貯蓄が含まれていた。真紀は、悠里が既に生前贈与として貯蓄を受け取っているため、遺産は彼女が主導して分割すべきだと考えた。しかし、悠里は、自身が受け取った贈与はあくまでスタジオ設立のための支援であり、遺産分割においては平等に扱うべきだと主張した。

この2人の間で、生前贈与の取り扱いに関する意見が一致せず、遺産分割の話し合いが難しくなった。


このエピソードは、家族内での生前贈与が、後の遺産分割における解釈や意図に関する不一致からトラブルを引き起こす可能性があることを示しています。

不動産の評価

故人が遺した不動産の価値をどう評価するか、特に市場価格との乖離がある場合や将来的な価値変動を考慮した場合の評価が問題となることがあります。

エピソード①

中島家は長い間、山間部に広大な土地を所有していた。この土地は、数十年前までは果樹園として利用されていたが、最近は放置され、野生の樹木が生い茂っていた。中島家の当主・信雄が亡くなった際、その遺産にはこの土地が含まれていた。

信雄には2人の子供、長男の和也と次男の浩史がいる。和也は都会で不動産関連のビジネスをしており、浩史は地元で農業を営んでいる。

浩史はこの土地を現地価格、つまり地元の相場で評価して分割するべきだと考えた。彼にとっては、その土地は将来的にも農業用地として利用する予定であり、現地の価値が適切だと感じていた。

一方、和也は都市部での不動産取引の経験を持ち、この土地のポテンシャルを見越していた。近隣にリゾート開発の計画が進行中であり、数年以内には土地の価格が大幅に上昇する可能性があったのだ。そのため、和也は将来的な市場価格を反映した高めの評価で分割するべきだと主張した。

この2人の間で、不動産の評価額に関する意見が大きく食い違い、遺産分割の交渉が難航することとなった。


このエピソードは、不動産の将来価値や地域性、利用目的などが影響する価格評価に関する意見の不一致から、遺産分割におけるトラブルが生じる可能性を示しています。

エピソード②

田村家は、都心部の商店街に古くからある町家を所有しており、その家は田村家の先祖からのもので、現在は賃貸物件として利用されている。家の2階には、アートギャラリーが入居し、1階には老舗の和菓子屋が営業している。

田村家の家長・一成が亡くなった際、その遺産にはこの町家も含まれていた。

一成には3人の子供、長女の真理、次女の紗織、三男の誠がいます。真理はデザイナーとして都内で活動しており、紗織は経営者として別の都市で生活している。誠は地元に残り、和菓子屋の経営を継ぐことを望んでいた。

真理は、町家の周辺が再開発計画の影響で、将来的には新しい商業ビルや住宅が建設されるとの情報を耳にしており、その土地の価値は現在以上に上がると考えていた。紗織も、再開発の情報を知っており、真理の意見に同意していた。

しかし、誠はその土地と町家に愛着を持っており、家族が経営する和菓子屋としての歴史や価値を重視し、過去の取引価格に基づいた現在の相場での評価を主張していた。

三兄妹の間で、町家の評価についての意見が大きく分かれ、遺産分割交渉が難航してしまう。


このエピソードは、地域の再開発や将来的な土地の価値変動、そして土地や家に対する感情的な価値観が影響する価格評価に関するトラブルを示しています。

特別な思い出や感情的価値

故人の遺した品物や財産に特別な思い出や感情的価値がある場合、物の金額的な価値以上に相続人間での取り合いが発生することがあります。

エピソード①

佐藤家には、代々受け継がれてきた古いアコースティックギターがあった。このギターは、佐藤家の先祖が戦時中に手に入れ、家族の団欒の場でよく弾かれていたもので、家族全員にとって非常に特別な思い出の品物だった。

佐藤家の家長・修一が亡くなった際、遺産の中にこのギターも含まれていた。修一には2人の子供、長男の健二と次男の英樹がいる。健二は音楽家として都内で活動しており、英樹は地元でカフェを経営している。

健二はこのギターを専門的に評価してもらったところ、アンティークとしても一定の価値があることが分かった。しかし、彼にとっては祖父が弾いていた思い出の楽器としての価値が何よりも大切だった。一方、英樹はカフェでのライブイベントなどでギターを使用したいと考えており、祖父が使っていた楽器としての歴史やストーリーをお客さんに伝えることで、カフェの価値を高めたいと思っていた。

2人ともギターを手放すことを望んでおらず、どちらがギターを所有するのかについての意見が合わず、遺産分割交渉が難航することとなった。


このエピソードは、財産に対する感情的価値や思い出の重みが、物の金額的な価値以上に影響を及ぼす遺産分割のトラブルを示しています。

エピソード②

中村家には、故人・真弓が亡くなる数年前に購入した小さな置物があった。この置物は、真弓が子供たちと一緒に海外旅行をした際に購入したもので、家族にとってはその旅行の思い出を象徴するものだった。

真弓には3人の子供、長女の千晴、次女の佳乃、長男の直樹がいた。千晴と佳乃は、この置物を真弓が直樹に特別な思いで贈ったものだと考え、直樹に譲るべきだと主張した。彼女たちにとって、この置物は母との最後の海外旅行の際に直樹が選んだもので、直樹への愛情が込められていると感じていた。

しかし、直樹は異なる意見を持っていた。彼にとって、この置物は3人兄妹全員の思い出を象徴するものであり、特定の誰かに限定されるものではないと考えていた。そのため、彼は置物を売って、その収益を3人で均等に分けることを提案した。

この置物の取り扱いをめぐり、3人兄妹は感情的になり、遺産分割の交渉が難航することとなった。


このエピソードは、特定の遺産に対する家族間の感情や思い出の価値が遺産分割の際にどのように影響を及ぼすかを示しています。

遺留分請求

法定相続分を下回る遺産しか受け取れない相続人が、遺留分請求権を行使しようとする場合の対立が挙げられます。

エピソード①

鈴木家の当主・一郎は、長い間会社を経営しており、相応の資産を築いてきた。一郎には二人の子供、長男の健太と次女の明美がいる。明美は20年前に家族との関係が悪化し、家を出て以降、一切連絡を取っていなかった。

一郎が遺言書を作成した際、健太が家業を継ぐことを前提に、ほとんどの資産を健太に譲る内容とした。そのため、明美の相続分は極端に少ないものとなった。

一郎が亡くなった後、健太が遺言書の内容を明らかにした際、明美は驚愕した。彼女は、自分が家を出たからといって、法定相続分よりも少ない遺産しか受け取れないのは納得できないと考えた。そこで、遺留分請求権を行使しようとした。

健太は、父・一郎の意思を尊重すべきだと考え、明美の遺留分請求に反対した。二人の間で対立が激化し、結果的に法的な手段を取ることとなった。


このエピソードは、遺留分請求権が遺産分割の際にどのように影響を及ぼすか、また、家族間の対立が法的争いに発展する様子を示しています。

エピソード②

田中家は、都心に広大な土地と一軒家を持つ裕福な家族だった。田中家の当主、昭三は先妻との間に一人の息子・大輔を持ち、先妻の死後、後妻との間に娘・紗矢香をもうけた。昭三は紗矢香と非常に仲が良く、彼女に多くの愛情を注いで育てた。

昭三が亡くなった後、遺言書が見つかった。その内容は、大輔には事業と一部の資産、紗矢香には都心の土地と家を遺すというものだった。しかし、この遺言により、紗矢香の相続分が法定相続分を大きく下回ることとなった。

大輔は、父の意思を尊重したいと考えていたが、紗矢香は不公平を感じ、遺留分を請求する権利を行使しようと考えた。彼女は、父との特別な関係を考慮して、自分の相続分が法定相続分を下回ることは納得できないと感じた。

家族間の意見が分かれ、結果的に遺留分請求に関する法的手続きを進めることとなった。


このエピソードは、再婚家庭特有の複雑な家族関係や遺言書の内容が遺留分請求を引き起こす原因となることを示しています。

相続人の確定

正確な相続人が確定されていない場合や、遺産を受け取る資格があるかどうかを巡るトラブル。

エピソード①

佐藤正男は、60歳で亡くなった。彼には正式には結婚していないが、40年以上同居していた恋人・優子と、20年前に連絡を絶ってしまった一人の娘・美智子がいた。

正男の死後、遺産分割の話し合いを進める中、優子が「私たちは事実婚の関係で、美智子と同じように相続権がある」と主張した。一方、美智子は「事実婚とは言え、法的な結婚関係にはないため、優子さんには相続権はない」と反論した。

さらに、美智子は「父が私に伝えていた情報によれば、私には異母兄弟がいるはずだ」と話したが、その兄弟の居場所や詳細についてはわからないという状況だった。

この問題の結果、相続人が確定するまでの間、遺産分割の議論は大きく難航した。事実婚の優子の相続権、未確定の異母兄弟の存在など、複数の問題が重なり合う形となり、法的な手続きや調査を必要とする事態となった。


このエピソードは、事実婚や未確定の相続人の存在によって、遺産分割が複雑化する可能性があることを示しています。

エピソード②

中島悟は、三人の子供(一郎、二郎、三子)を持つ72歳の男性だった。突然の事故で他界した後、遺産分割の話し合いが子供たちの間で始まった。

遺産の中には、中島家が代々受け継いできた歴史的な価値がある土地が含まれていた。その土地の話し合いの中で、三子が「父から昔、私たちには知らない異母の兄がいると聞いたことがある」と打ち明けた。その異母兄は、悟が若いころに前の結婚で生まれた子供で、何らかの事情で彼とは疎遠になっていたという。

この発言を受け、一郎と二郎は驚いた。彼らはその存在を知らず、その異母兄が遺産に関与する権利があるのかどうか、法的な相続人として認められるのかという疑問が生まれた。

話し合いの中で、異母兄の存在を確認し、彼の意向や権利をどのように遺産分割に取り込むかが主要なテーマとなった。この過程で、家族間のコミュニケーションの欠如や秘密が明るみに出ることとなり、遺産分割は一層複雑になったのだった。


このエピソードは、家族の中で知られていない秘密や疎遠となった親族の存在が遺産分割にどのような影響をもたらすかを示しています。

相続の放棄

一部の相続人が相続を放棄した場合の遺産分割の再計算や、放棄の取り消しを求めるトラブルです。

エピソード①

田中夫妻は長年、子供の健太と麻美との4人で幸せに暮らしていた。しかし、ある日、田中夫妻が旅行中の交通事故で急逝してしまう。遺産分割の際、健太は自らの起業活動が忙しく、また経済的にも安定していたため、自分の相続分を放棄することを宣言する。その意向は、麻美に全ての遺産を継ぐことで家を支えてほしいという思いからだった。

しかし、数年後、健太の事業は失敗し、経済的な困窮を迎えます。その頃、麻美は田中夫妻の遺産を元に新しい家を建てたり、投資を行うなどして資産を増やしていた。健太は、自分の過去の判断を後悔し、自分の放棄した相続分を取り戻したいと考えるようになった。

健太は法的に相続放棄の取り消しを求めることができるか、また、麻美が得た利益に対して自分が権利を持っているかどうかを調査するために弁護士に相談することになった。麻美もまた、自身の立場を守るために別の弁護士を雇い、兄妹間でのトラブルが始まることとなったのである。


このエピソードは、相続放棄の後の状況変化や後悔が、法的トラブルを引き起こす可能性を示しています。

エピソード②

佐藤家は、父・一郎とその3人の子供、大輔、絵里、和也で構成されていた。一郎は大手企業での役員を退職後、小さなアパートを所有し、その家賃収入で静かに生活していた。

ある日、一郎が突然亡くなり、遺産分割の話し合いが子供たちの間で持ち上がった。しかし、絵里はすでに海外での生活が長く、日本の生活や財産には興味が薄く、相続を放棄する意向を示した。大輔と和也は、絵里の放棄により、遺産を2人で分けることになり、アパートの所有や管理がスムーズに進むと考えていた。

しかし、数年後、絵里が海外での事業に失敗し、経済的困難に見舞われる事態となった。日本の家族に助けを求める中、過去の相続放棄を後悔し、再びその権利を主張し始めた。

和也は絵里の要求に応じるつもりはなく、一方、大輔は家族として助けたいという思いで揺れ動いた。結果、3人の間には不協和音が生じ、法的措置を踏むこととなった。


このエピソードは、相続放棄をした後の状況変化が、家族間の関係や感情に大きな影響を及ぼす可能性を示しています。